経済学の専門書、トマ・ピケティ氏著の「21世紀の資本」21世紀の資本 が世界的ベストセラーになり、日本でもブームになっている。
世界的に格差社会が問題になっているが、この本は富の格差や社会階級の問題に関心を失った現代経済学に布石を投じている。
日本の経済書部門の売上第1位というから、世のビジネスマンだけでなく、ビジネスウーマン、また私たち主婦仲間も読んでいるかもしれない。では、なぜ流行っているのだろうか。どういう内容なのだろうか。
トマ・ピケティ (著), 山形浩生 (翻訳), 守岡桜 (翻訳),他
普通の単行本より分厚く、728ページある。
フランスの経済学者トマ・ピケティ氏は、「数量経済史」という最新の統計手法を用い、18世紀から21世紀初頭の過去200年以上の欧米諸国の膨大な各国データで歴史的実証分析を行いデータを分析した。
結論は「資本主義では歴史的に所得分配の格差が拡大する傾向にあり、それは今後も続くだろう」だから「資本主義は不平等になる」というもの。
この結論を導くのに、統計が不充分だった19世紀以降のデータを、各国の税務資料などをもとに推定し10年かけて集め、ヨーロッパの主要国やアメリカのマクロ経済データを比較。
「21世紀の資本」の中で結論式が「r(資本収益率) > g(経済成長率)」。これは、資本(資産のこと)がもたらす収益の増加率が経済成長率を上回る現在の状態、「r > g」が続く限り、資産を持つ富裕層と賃金労働者の所得格差は永久に拡大してゆく。これが資本主義であるという。
難しいが、結論は何かというと「資本主義は不平等になる」ということを証明している。
富裕層は資産を子子孫孫保有し、賃金労働者は走り続けないと生活できないし富裕層になれない。これが現実であり、希望はない。
ピケティ氏は資本主義を批判しているのではなく、この前提のもとにどのような経済政策をしていくかを、世界へ投げかけている。世界は広いので政治家経済専門家にまかすとして、世界の心配よりも我が家の心配をしよう。
日本の一般家庭なら、食べるのに困ることはないが教育費で困ることがある。
日本の教育費は世界一高いともいわれる。
しかし、我が家がピケティ氏の「富裕層」ではない場合、子供にはできれば「富裕層」に近づいてほしい。
それには、子供の教育費は「先行投資」と考え、出来るだけの範囲で「投資」したい。
「賃金労働者」つまりサラリーマンでは、「富裕層」にはなれない。
「富裕層」になるには、自分で経済を動かせる知識と才能と度胸と、そしてチャンスが必要だ。
とはいえハードルを高くしても届かない。まずは収入の多い「賃金労働者」つまりエリートサラリーマンになってもらおう。
そして「富裕層」になる意識だけは、持っていてもらおう。
いつか「賃金労働者」を卒業して、ゆるぎない財力のある投資家・実業家になれば「富裕層」の仲間入りである。